$$\displaystyle \cos \frac{2\pi}{5} = \frac{-1 + \sqrt{5}}{4}$$
であることは様々な方法で求められる.(高等学校の知識でも十分求められる.)
ここでは,円分体のGalois群\( Gal(\mathbb{Q}(\zeta_5)/\mathbb{Q}) \)を用いた求め方を紹介する.
前提知識は,大学数学の群論や体論,ガロア(Galois)理論の知識である.ただし,\( \zeta_n=e^{2\pi \sqrt{-1} /n}=\cos \frac{2\pi}{n} + \sqrt{-1} \sin \frac{2\pi}{n} \)である.
【証明】
まず,円分体のGalois理論の結果として,
$$Gal(\mathbb{Q}(\zeta_5)/\mathbb{Q}) \cong (\mathbb{Z}/5\mathbb{Z})^{\times}$$がわかる.以後,\( \zeta = \zeta_5 \)とする.
\( (\mathbb{Z}/5\mathbb{Z})^{\times} \)の生成元を考える.\( \bar{2} \)をかけることにより,$$\bar{1} \to \bar{2} \to \bar{4} \to \bar{3}$$と移っていくから,\( \bar{2} \)は\( (\mathbb{Z}/5\mathbb{Z})^{\times} \)の生成元である.上の同型の対応により,\( \sigma \in Gal(\mathbb{Q}(\zeta_5)/\mathbb{Q}) \)を,\( \sigma(\zeta)=\zeta^2 \) となるものとすると,\( \sigma \) が\( Gal(\mathbb{Q}(\zeta_5)/\mathbb{Q}) \)の生成元である.\( \alpha = \zeta +\zeta^4 ,\beta =\zeta^2 + \zeta^3 \) とすると,
\begin{eqnarray}
(x-\alpha)(x-\beta) &=& x^2-(\zeta+\zeta^2+\zeta^3+\zeta^4)x+(\zeta^3+\zeta^4+\zeta^6+\zeta^7)\\
&=&x^2+x-1
\end{eqnarray}
である.よって,\( \alpha ,\beta \) は\( x^2+x-1 \)の根であり,\( \alpha > 0\)より,\( \displaystyle \alpha=\frac{-1 + \sqrt{5}}{2} \)である.\( \displaystyle \alpha = \zeta +\zeta^4 = 2 \cos \frac{2\pi}{5} \)なので,$$\displaystyle \cos \frac{2\pi}{5}=\frac{-1 + \sqrt{5}}{4}$$である. 【証明終】
このポイントは,\( \alpha = \zeta +\zeta^4 ,\beta =\zeta^2 + \zeta^3 \)とおくところである.\( \alpha \)や\( \beta \)は,このようにおけば,\( Gal(\mathbb{Q}(\zeta_5)/\mathbb{Q}) \)の生成元\( \sigma \) によって,\( \alpha \rightarrow \beta \rightarrow \alpha \)と移り合う.このことより,\( \alpha , \beta \)を根とする多項式は\( Gal(\mathbb{Q}(\zeta_5)/\mathbb{Q}) \)の元によって不変であるから,これは\( \mathbb{Q} \)上の多項式である.(特に,\( \alpha , \beta \notin \mathbb{Q}\)なので,これは\( \alpha , \beta \)の\( \mathbb{Q} \)上の最小多項式である. )
参考文献
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