今回は、前編に続き、先日受験した大学院入試(院試)の受験の流れや受験本番のことについてお話しします。(前編をまだ見ていない方は先にご覧ください。)
出願
2021年度の入試では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、名大多元は、筆記試験が2日間(8/1,2)の予定になっていました。また、他大学の試験日程は大幅に変わっており、出願前に筆記試験は取りやめてレポートとオンライン口述試験に変更されたところもありました。また、出願書類や試験日などの公表が極端に遅れているところもあり、出願が大変でした。これらの影響で、私は名古屋大学(多元数理科学研究科)と、滑り止めとして九州大学(数理学府)に出願しました。
この後、出願期間が終わってから、名古屋大学(情報学研究科)の募集要項が公表され、専門に近い先生が受け入れ可能(しかも面談したらとても優しそうな先生!)であったことから、滑り止めとして名古屋大学(情報学研究科)も出願しました。
(この時には、名古屋に住むことをイメージしており、絶対名古屋に行きたいと思っていたので、惹かれました。結局、受験料だけで9万円も支払ってしまった。。。(;´д`)トホホ
来年からはまた通常通り早めに募集要項が公表されると思うので、こんなことないと思うよ。。。)
また、(挑戦校を受けなかったため)大学院入試の負担が減ったので、某県の公立学校教員採用試験(高校数学)を受験することにしました。
受験直前
名大多元の院試の2週間前に教採1次試験があったので、教採前の1週間は高校数学をやりましたが、それ以外はずっと院試の問題演習をやっていました。教採が終わり、「さて、ようやく高校数学から解放された!」と意気込んで院試の勉強を始めた矢先、、、
選抜方法:Zoomによる口述試験(1人あたり20分)
と発表されてしまいました。「ここまで勉強してきたことが無駄になってしまった!」と思ってしまいました。(冷静に考えたら、決してそんなことありません。特に工学部の私は、数学科の院試の問題に取り組んで、確実に数学力が上がりましたから。。。)
「まあ、試験時間短くて家で受けれるから楽でいいじゃん♪」と思う反面、「たった20分の面接で落とされたら後悔する…」という思いもあり、直前1週間は、教科書の定義を読み返したり、友人と定義や定理を説明し合う対決みたいなことをしたりして、最終調整しました。
受験本番
受験番号は早い方でしたが、試験は8/1の夕方頃からでした。
Zoomで入室すると、試験官の先生方が6人ほど見ていて、1人の先生が説明などしてくださいました。受験形式は、出題された問題について、紙に書いて見せるか口頭で話すかなどして解答を伝えるという形でした。
第一問(制限時間3分)
問.\(n\)次元数ベクトル空間の元\(a,b\)を正規直交化するプロセスを教えてください。
普通にグラムシュミットの正規直交化のプロセスを言えばいいですね。口で説明しようとすると「式で書いてみて」と言われたので普通に書いて、先生方はうなずきました。やはり、正確に式で書けるかも見られます。
第二問(制限時間3分)
問.位相空間がハウスドルフであることの定義を教えてください。
これもまず口で言ってから、式でも書きました。口で言った際に、「近傍」という言葉を使ったのですが、すぐに「君の言う近傍の定義は?」と質問を受けました。きちんと答えられましたが、定義をするときに使う言葉の定義などもしっかりいえるようにしておくといいでしょう。
問.続けて質問しますが、距離空間がハウスドルフであることを証明してください。
証明問題は出ないと予想していたので、少し焦ってしまいましたが、頭の中で方針を整理して説明をし始めました。距離を用意して開球を定義したところでそろそろ時間ですと言われてしまい、「あとは距離の公理使えばできます。」とだけ言っておいた。
第三問(制限時間3分)
問.実数値の複素関数で正則ならば、それは定数関数であることを証明してください。
この問題では、とてもひどい勘違いをしてしまいました。実数値関数であることが頭から抜けていて、てっきり「リュービルの定理を示せ」ということかと勘違いしてしまいました。それでも証明方法を軽く覚えている程度だったので、「まずコーシーの評価式を、一階微分に適用して、十分大きな円を考えれば、、、」「じゃあ、コーシーの評価式のステートメント教えて」みたいな感じである程度話は続いていきました。途中で、「正則であるための必要十分条件であるコーシーリーマンの関係式知ってる?」とか、助け舟を出されたが、それは答えられても勘違いからは抜け出せず、示せませんでした。
(この問題は試験終わってから考えたら、すぐに勘違いに気付き、コーシーリーマンからすぐ示せることに気付いた。やらかしたぁぁぁ( ;∀;))
第四問(制限時間10分)
問.\(f(x)=\begin{cases}x^{\alpha }\log x \left( x >0\right) \\ 0\left( x≦0\right) \end{cases}\)とする。\(x=0\)で連続であるための\(\alpha\)に関する必要十分条件は?また、微分可能であるための必要十分条件は?
これは連続の定義と微分の定義が分かっていれば簡単にできますね。どうやって伝えようか考えてたら「まずは答えだけで構いませんよ、教えてください」と言われたので先に答えを言ってから、じっくり式で書いて見せました。計算途中について聞かれましたが、普通にロピタルの定理を使ったので素直に言いました。
試験が終わったときには、「こんなにあっさりと受験が終わってしまった。あんまり思い出にならないなぁ。」と、謎の虚無感を感じました。
合格発表
名大多元は合格発表が早く、8/3にHPで公開されました。(先生方お疲れ様です。。。)
手ごたえはまあまあありましたが、合格発表前はやはり不安でした。
結果は合格でした(#^.^#)。事前のZoom接続テストの際のメールから出願者は93人であることが分かりました。受験者は不明ですが、合格者は63人ということで、合格倍率は大体1.4~1.5倍程度でしょうか。二次募集があると思うので何とも言えませんが、例年と同じくらいだと思います。(名大多元の過去の入学者数等統計はこちら)
院試を終えて
これにて、私の院試が終わりました。(名大情報と九大数理は名大多元の合格発表後なので、受験放棄しました。)
院試を振り返って思うのは、「数学の基礎を再習得できてよかった」ということです。院試の問題は、単に入学者数を制限するためものではなく、大学院に入学してから必要な素養を提示してくれているものだと思います。なので、院試の勉強は自分のこれからの研究の基盤になってくれるものだと思っています。
また、今回も純粋に試験を楽しめました。それが私の流儀なんでね。(半沢〇樹風)
やはり、これにつきます。勉強も研究も、基本的には自己満足ですからw
以上で終わりです。この記事(前編と後編)が皆さんの役に立ったらうれしいです。何か質問などあれば、お気軽にお問い合わせください。読んで下さりありがとうございました。
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